はやめに見つけてあげたい子どもの「弱視」のおはなし①
こんにちは、アクアキッズクリニック東池袋院です。
皆さまはお子さまの目について不安を感じたことはありますか?
「テレビを近くで見ている気がする」「時々、目が寄っているように見える」そんな些細なサインが、実は大切な視力発達のシグナルになっていることがあります。
今回は、当院で導入している視覚スクリーニング検査機器「スポットビジョンスクリーナー」について、なぜこの検査が重要なのか、そして早期発見の重要性について詳しくお伝えします。
1.スポットビジョンスクリーナー(SVS)とは?
有名な目の検査には「視力検査」や「屈折検査」があります。
当院で実施できるスポットビジョンスクリーナーで検査できるのは「屈折検査」になります。
本人が表現する必要がないので、他覚的視力検査と呼ばれています。
スポットビジョンスクリーナーは、お子さまから1メートルほど離れた場所から、カメラで写真を撮るように機器を見つめてもらうだけで検査が完了します。
薄暗い部屋の中でキラキラと光る画面を見ている間に、数秒で両目の屈折状態や眼位を測定できるため、痛みはありません。
2.この検査で「なにを見ている」の?
この機器では、主に以下の4つのリスクをスクリーニングしています。
- 近視・遠視: 網膜にピントが合っていない状態。特に強い遠視は弱視の原因になります。
- 乱視: 角膜の歪みにより、像が二重に見えたりぼやけたりする状態。
- 不同視: 右目と左目の視力に大きな差がある状態。良い方の目ばかりを使ってしまい、悪い方の視力が発達しなくなるリスクがあります。
- 斜視: 両目の視線が同じ方向を向いていない状態。
これらの異常は、外見からは非常に気づきにくいのが特徴です。
スポットビジョンは、これらを数値化して「眼科専門医による詳細な検査が必要かどうか」を判定します。
3.なぜ小さいうちに検査をするの?
医療従事者として私たちが最も伝えたいのは、「子どもの視力の発達にはタイムリミットがある」ということです。
人間の視力は、生まれたときから完成しているわけではありません。
言葉や歩行などと同じく、成長に伴ってだんだん獲得する能力です。
出生後、脳の視覚中枢が刺激され、3歳頃までに急速に発達し、6歳〜8歳頃までにほぼ完成します。
もしこの時期に、強い斜視や強度の屈折異常(遠視・近視・乱視)があったりと「はっきりした像」が脳に届いていないと、適切な視覚刺激が受けられず、健全な視力の発達が阻害されて「弱視」につながります。
弱視はこどもの50人に1人起こると言われており、多く見受けられる病気です。
8〜10歳を過ぎてからの治療は難しくなります
視力の成長は、他の成長と同じくいつかは止まり、臨界期(感受性期=10歳頃まで)を過ぎると治療に反応しにくくなります。
逆に、3歳や4歳といった早期に発見し、適切なメガネの使用や訓練を始め治療を受けることでよく見える目に育ちます。早期発見は、お子さまの視力を守るためにとても重要なのです。
4.弱視の種類
屈折異常弱視
| どんな状態? | 強い遠視・乱視・近視があるために、ピントが合わないまま成長してしまうケースです。 |
|---|---|
| 特徴 |
両目とも見えにくいため、目を細めて見たり、物に近づいて見たりすることがあります。 でも、本人は「それが当たり前」と思っているので、検査をしないと気づきにくいのが特徴です。 |
不同視弱視
| どんな状態? | 右目と左目で、視力(ピントの合い方)に大きな差があるケースです。 |
|---|---|
| 特徴 |
「片方の目はよく見えている」ため、日常生活では全く不自由を感じません。 そのため、もっとも発見が遅れやすいタイプです。 健診でのスクリーニング検査が非常に重要になります。 |
斜視弱視
| どんな状態? | 黒目の位置がズレている「斜視」があるために、ズレている方の目を使わなくなり、視力が発達しなくなるケースです。 |
|---|---|
| 特徴 | 「視線が合わない」「片方の目だけ違う方を向いている」といった見た目の変化で気づくことがあります。斜視に気づいたら、早めに眼科を受診しましょう。 |
形態覚遮断弱視
| どんな状態? | 生まれつきの病気(白内障など)や、まぶたが下がっていることで、光や形が網膜に届かないケースです。 |
|---|---|
| 特徴 | 視覚的な刺激が完全に遮断されてしまうため、弱視の中でも特に早期の発見と治療が必要です。 |
5.スポットビジョンスクリーナーの結果の見方と注意点
検査が終わると、その場ですぐに結果がわかります。
「目の精密検査が推奨されます」と出た場合
とても心配になりますよね。
しかしこれは「精密検査=病気」という診断ではないのでご安心ください。
スポットビジョンは非常に感度が高い機器であるため、少しでも異常の可能性がある数値を検知すると、見逃しを防ぐためにこの表示が出ます。
特に低年齢の子どもたちは、以下のような理由で「精密検査」が出てしまうことがあります。
- 視線のズレ
視線が安定しないと、機器が正しく測定できず「異常あり(要受診)」と判定される偽陽性が出ることが多々あります。
検査は薄暗い部屋でピカピカ光るライトを数秒間見つめてもらう必要がありますが、機嫌や年齢によっては難しいです。
- 泣いてしまう:
泣いて目が潤んだり、涙で瞳孔が隠れたりすると、光が正しく反射せず、エラーや異常値の原因になります。
当院では、以下の基準で眼科への受診をご案内しています。
スクリーニング結果で「眼科専門医による精密検査をおすすめします」の指示が出た場合は、日本小児眼科学会の基準に基づき判断します。
繰り返し検査を行っても数値が改善しない場合や、明らかに精密検査が必要な数値が出た場合には、眼科専門医へご紹介いたします。
しかし検査結果の値によっては、偽陽性の可能性もあります。
一度の検査で判断するのではなく、お子さまの成長に合わせて、次回の健診などの機会に繰り返し検査を行い、経過を継続して確認していきます。
- 家庭で気になるサインがあるとき
- テレビや本を極端に近くで見ている
- 明るい場所でひどく眩しそうにする、または片目を細める
- 物を見るときに首をかしげたり、横目で見たりする
- 目が寄っている、または外側に外れているように見える
6.アクアキッズクリニック東池袋院での取り組み
アクアキッズクリニック東池袋院では、このスポットビジョンスクリーナーを用いた検査を、乳幼児健診の中に取り入れています。
当院では、6-7ヶ月健診、9-10ヶ月健診、そして1歳半健診などの機会に、積極的な視覚スクリーニングを推奨しています。
子どもたちは、自分の見えている世界が「ぼやけている」のか「二重に見えている」のかを知りません。
それが自分にとっての当たり前だからです。
当院でのスクリーニングで受診が必要と判断された場合には、眼科専門医へとご紹介する体制を整えています。
健診以外の時でも、「最近目が寄っている気がする」「物を見る時に顔を傾けている」といったご家族からの気付きがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
参考文献
【小児科医向けSpot Vision Screener運用マニュアル Ver.1】 はじめに SVSで何ができるか? 1
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