熱が出た!どうする? 小児科医が伝える、発熱の仕組みと解熱剤との上手な付き合い方
こんにちは、アクアキッズクリニック東池袋院です。
本日は、みなさんにとって身近なお薬である解熱剤についてお話していきたいと思います。
自分自身の発熱ならつらさは自分で分かるものの、お子さんが熱を出すと心配になりますよね。
「熱を下げて楽にしてあげたい」と思うのは自然なことです。
しかし、その一方で「解熱剤を使うと、かえって治りが遅くなるのでは?」という話を聞いたことがあるかもしれません。
この記事では、小児科医の視点から、
- そもそも「発熱」とは何なのか?
- 解熱剤はどのような役割を果たすのか?
- 発熱に対して、解熱剤とどう上手に付き合っていけばよいのか?
を分かりやすく解説していきます。
1. そもそも「熱」って何? – 体の大切な防御反応
まず最も大切なことは、発熱は病気そのものではなく、ウイルスや細菌などの感染に対する体の正常な防御反応であるということです。
熱が出ることで、体は病原体と戦うための有利な環境を作り出しています。
具体的には、発熱には以下のような重要な役割があります。
- 病原体の増殖を抑える: 体温が高い環境では、多くの細菌や一部のウイルスの増殖の低下が期待できます。
- 免疫反応を促進する: 体温が上がることで、病原体を倒す免疫細胞がより活発に働きやすくなります。
このように感染を治すといった意味だけで言えば、熱は下げない方が良いとさえ言えます。
ただ、そこに立ちはだかる問題として、皆さんが実感している通り、発熱によって身体がつらくなるといったことです。
2. 解熱剤の役割 – 熱を下げて、体を楽にする
そこで出番をむかえるのが解熱剤です。
つまり解熱剤の主な目的は、病気を治すことではなく、発熱や痛みに伴う不快な症状を和らげ、体を楽にすることなんです。
熱が高いと、頭や体の節々が痛い、だるいと感じ、つらくて眠れないこともありますよね。
解熱剤は、体温を下げるだけでなく、これらのつらい症状も多少軽減することができて、体力を温存する手助けをします。
つまり、睡眠をしっかりとる、食事をしっかり食べるなど、生活の質(QOL)を改善することが、解熱剤の最も大きな役割なのです。
また、熱性けいれん抑制にも多少の効果がある可能性もあります。
日本の病院で行われた研究では、解熱剤(アセトアミノフェン)を投与した群で、熱性けいれんの再発率が低下した(非投与群23.5% → 投与群9.1%)という報告があります。
(ただし、これは限定的な条件下での研究結果です。一応、この研究を根拠に熱性けいれんでは解熱剤しっかり使いましょうと私は親御さんにお話はしています)
ただ、冒頭の熱のでる原因に立ち返るとある疑問が出てきますね。
そう、「熱を解熱剤で下げてしまうと、体の抵抗力を弱め、結果的に病気が長引いてしまうのではないか?」ということです。
この点について、2023年に発表された研究があります。
3. 解熱剤を使うと、風邪は長引く?最新研究が示す意外な事実
「解熱剤を使うと風邪が長引く」という懸念は、発熱の仕組みを考えると小児科医でさえ理論的には抱くものです。
この疑問に答えるため、2023年に発表された、急性呼吸器感染症(いわゆる風邪や気管支炎など)における解熱剤の効果を検証した研究結果を紹介します。
結論は、「解熱剤の使用は、急性呼吸器感染症の期間を伸ばしも、短くもしない」という結果でした。
解熱剤の使用で熱が下がるまでの時間や、症状がなくなるまでの時間に関しては、統計的に意味のある差は見られなかったのです。
現時点でのエビデンスではありますが研究としては、メタアナリシス(研究界の総まとめ)で信頼度は高いと言えます。
これだけ聞くと結論はどうなの?と思いますよね。
ただこの結果を先ほどの疑問、「解熱剤を使うと、結果的に病気が長引いてしまうのでは?」という疑問に当てはめてみると
「解熱剤が病気を長引かせる」という明確な証拠はないと言うことが出来ます。
4. まとめ-解熱剤と賢く付き合うために解熱剤を上手に使うための判断基準
最後に、発熱や解熱剤についてこれまで話してきたことのまとめ、どのように使うべきかをまとめさせてください。
- 熱は味方と心得る
発熱は、病気そのものではなく、体を守るための大切な防御反応です。
熱が出たこと自体を過度に恐れる必要はありません。
- 解熱剤使用は数字ではなく、つらさで判断する
解熱剤を使う目的は、体温計の数字を下げることではありません。
熱が高くても比較的元気で、水分も摂れているなら、急いで使う必要はありません。
「つらそう」「ぐったりしている」など、本人の不快な症状を和らげるために積極的に使いましょう。
- 風邪が長引く心配は、今のところ低い
現在の科学的根拠では、解熱剤の使用が感染の治りを遅らせるという証拠はありません。
つらい時は、我慢せずに使うことが全体的には子供のためだと考えます。
このコラムで、親御さんの不安を少しでも減らせれば嬉しいです。
ただ日々、医療の知識は変わっていくので、もし判断に迷う場合や、症状が重い場合は、ためらわずにアクアキッズへ受診、相談してくださいね。
解熱剤使用の判断基準:重要なポイントのおさらい
おさらいとして重要なポイントをまとめておきます!
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- 発熱は体の必要な反応であるが、そのつらさで食事や睡眠が妨げられるのは事実
- 解熱剤は感染の治療ではなく、熱によるつらい症状の緩和目的
- 熱があっても比較的本人が元気な場合(ある程度遊べて、食べて、寝れている) →解熱剤は必ずしも使う必要はありません
- 熱によってつらそう →解熱剤は積極的に使用していいです。熱を下げて治癒が遅れることは現時点では否定的で、つらさを軽減して食事や睡眠を優先してあげましょう。
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