RSウイルスから赤ちゃんを守るために知っておきたい『アブリスボ®』
こんにちは、アクアキッズクリニック東池袋院です。
まもなく春を迎え、新しい命の誕生を心待ちにされているプレママ・パパも多いかと思います。
今日は、これから赤ちゃんを迎える皆さまに、ぜひ知っておいていただきたい「新しいワクチン」のお話をさせてください。
それは、お母さんが妊娠中に接種することで、生まれたばかりの赤ちゃんをRSウイルスから守る「アブリスボ」というワクチンです。
RSウイルスは生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染すると言われています。
症状としては、発熱・鼻水など軽い風邪症状から重症な肺炎まで様々です。
また、RSウイルスはウイルス感染症であるため、特効薬はなく、症状に対する対症療法が基本の治療となります。
1.ワクチン接種の現状
RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®)は、2024年5月末から国内で接種が可能となりました。
任意接種として提供されており、妊娠中にRSウイルス母子免疫ワクチンを接種した割合は約11.6%程度と低迷しています。
接種しなかった理由として「予防効果を知らなかった(28.9%)」、「ワクチンの存在を知らなかった(27.3%)」、「自費での支払額が高すぎる(18.7%)」などが挙げられています。
また、アメリカやイギリス、オーストラリアなど公費で自己負担なく提供されている国々は、接種率が約30〜50%と報告されています。
日本でも2026年4月から公費での接種が認められ、「RSウイルス対策は、社会全体で赤ちゃんを守るために必要」と国が認めた非常に大きな出来事です。
2. 「このワクチンを広めたい」理由
RSウイルスは、多くの大人にとってはただの風邪で済みますが、生後数ヶ月の赤ちゃんにとっては、呼吸が止まりそうになるほど重い症状を引き起こす恐れがある、怖いウイルスです。
赤ちゃんが感染してしまうと起きる症状と理由についてお伝えします。
| 陥没呼吸 (かんぼつこきゅう) |
息を吸う時に、喉の付け根や肋骨の間がペコペコとへこむ。 |
|---|---|
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鼻翼呼吸 (びよくこきゅう) |
鼻の穴を大きく膨らませて、必死に空気を吸おうとする。 |
|
呻吟 (しんぎん) |
息を吐く時に「うーっ」「んーっ」と唸るような声を出す。 |
| 哺乳力の低下 | 息が苦しいため、ミルクを飲む力が残っておらず、数口飲んでは泣いてしまう。 |
①気道の狭さ
赤ちゃんの気道は、もともと細いものです。
RSウイルスに感染すると、この気道の粘膜が激しく炎症を起こして腫れ上がり、さらに粘り気の強い「痰(たん)」が大量に出ます。
細い道が腫れと痰で塞がれることで、空気の通り道はさらに細くなってしまいます。
②「細気管支炎」
ウイルスが肺の奥深くにある「細気管支(さいきかんし)」にまで到達すると、細気管支炎を引き起こします。
赤ちゃんは自力で痰を出す力が弱いため、詰まった痰が肺の一部を潰してしまったり(無気肺)、空気が入っても出ていかない状態(過膨張)になったりします。
これが、あの「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という苦しそうな喘鳴(ぜんめい)の正体です。
RSウイルスに感染して重症化し、入院が必要になる子の多くは「生後6ヶ月未満」、特に「生後2〜3ヶ月」までの赤ちゃんです。
この時期の赤ちゃんは、まだ自分の免疫が未熟です。
「アブリスボ」というワクチンが画期的なのは、この「一番重症化しやすい生後数ヶ月間」を、お母さんから譲り受けた抗体で守ってあげられる点にあります。
3.アブリスボ(母体接種)の仕組み
アブリスボは、お母さんが妊娠24週〜36週(推奨は28週〜36週)の間に接種します。
特に、妊娠28週〜36週に接種すると最も効果があるとされています。
国際的な大規模試験(MATISSE試験)では、生後90日以内の重症RS下気道疾患の発症が約80%、180日以内でも約70%低下し、入院リスクも有意に低下するなど、高い予防効果が示されました。
アブリスボは注射のワクチンで、1回0.5mlを筋肉注射で接種します。
接種後の主な副反応として、痛み、頭痛、筋肉痛が報告されていますが重篤な副反応は稀です。
1回で接種が完了するため、妊娠中に何度も病院に行く必要はありません。
また、アブリスボを接種したことによる赤ちゃんへの悪影響は認められておらず、産まれてくる赤ちゃんを安全にRSウイルスから守る方法として注目されています。
お母さんの体の中で作られた「RSウイルスへの抗体」が、胎盤を通じて赤ちゃんにプレゼントされます。
そうすることで、赤ちゃんは「生まれた瞬間からRSウイルスへの免疫を持っている」状態で生まれてくることができます。
RSウイルスは、かつては冬の病気でしたが、最近では夏から秋にかけても流行が見られるようになり、一年中油断できないウイルスになっています。
4.プレママ・パパ見学会のご案内:アブリスボに関するご相談も可能です
当院では、プレママ・パパを対象としたプレ親学級(クリニック見学・ミニ勉強会)を企画中です。
「RSワクチンに興味はあるけれど、副作用は?」「いつ打つのがベスト?」といった疑問についても、見学会のついでに気軽にご相談いただけます。
2026年4月から公費での接種が開始されますが、当院での自費での接種は33,000円です。
出産前に接種するワクチンですが、産後の赤ちゃんを診ている小児科だからこそ、その重要性を誰よりも感じています。
大切な赤ちゃんとの生活が、安心して笑顔で過ごせますように。
東池袋院は生まれる前から子どもたちそしてご家族のサポートができたらと考えます。
参考文献
RSウイルス母子免疫ワクチンの接種率は約11.6%~全国調査で判明した『費用負担感』と『情報不足』が課題~ | 国立成育医療研究センター
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