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風邪に対する抗ヒスタミンの有用性

[2026.02.03]

こんにちは、アクアキッズクリニック東池袋院です。

今回は小児科クリニックが考える、鼻水の真実についてお話していきたいと思います。

お話のポイントは、抗ヒスタミン薬の効果あまり知られていない大切な話です!

風邪の鼻水に「鼻水止め」は本当に必要?

鼻水がだらだら出るととてもつらいですよね。ティッシュが手放せなかったり、夜に眠れなかったり、集中できなくなったりします。

「鼻水止めをください」と相談されることもクリニックでは多いです。

一般的に”鼻水止め”として処方されている薬は、抗ヒスタミン薬(オロパタジン®、ザイザル®、フェキソフェナジン®、ペリアクチン®など)といいます。花粉症などのアレルギー性鼻炎に対する薬として広く知られています。

では、「風邪の鼻水にも、抗ヒスタミン薬は効くのでしょうか?」

今回は、この疑問について、できるだけわかりやすく説明します。

抗ヒスタミン薬はなぜ花粉症に効くの?

花粉症やアレルギー性鼻炎では、花粉やほこりなどのアレルゲンが体に入ると、鼻の中にある肥満細胞という細胞が反応します。

この細胞から出てくるのが、ヒスタミンという物質です。

ヒスタミンが鼻の粘膜にある受容体にくっつくと、

  • くしゃみが出る
  • 鼻水がたくさん出る
  • 鼻がムズムズする

といったアレルギー症状が起こります。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが受容体にくっつくのをブロックする薬です。

そのため、アレルギー性鼻炎に効果があり、よく使用されている薬です。

風邪の鼻水は原因がちがう

一方で、風邪のほとんどはウイルスが原因です。

ウイルスが鼻の粘膜に感染すると、体はそれをやっつけようとして炎症を起こします。すると、

  • サイトカインという炎症物質が出る
  • 炎症物質による刺激で粘液や水分が増える

こうして鼻水が出ます。

風邪に抗ヒスタミン薬は効果があるのか?

→研究結果:「はっきりした効果はない」

では、実際の研究ではどうだったのでしょうか。

小児と成人の風邪に抗ヒスタミン薬を使った18件の研究のまとめが2015年に出されました。

抗ヒスタミン薬とプラセボ(何も入っていない薬)を比べて、

  • 風邪の期間が少し短くなる「傾向」はあったが有意な差ではなかった
  • 重症度は変わらなかった

という結果でした。

最終的には、「子どもの風邪に抗ヒスタミン薬の有効性を支持する根拠はない」と結論づけられています。

また別の小児の風邪に抗ヒスタミンを使用することについての研究まとめでは「小児の風邪において抗ヒスタミンを併用することの有益な効果は得られなかった」と報告があります。

参考:An IM De Sutter,et al.Cochrane Database of Systematic reviews PMID: 26615034、An IM De Sutter,et al.Cochrane Database of Systematic reviews PMID:35060618

米国FDA(U.S.Food&Drag Administration)でも、乳幼児(とくに4歳未満)に対して、市販の風邪薬(抗ヒスタミン薬を含む)は安全性への懸念があるため、注意喚起も出ています。

参考:米国FDA”Use Caution When Giving Cough and Cold Products to Kids” 02/08/2018,https://www.fda.gov/drugs/special-features/use-caution-when-giving-cough-and-cold-products-kids?utm_source=chatgpt.com

問題は「副作用」のほうが大きいこと

効果がはっきりしないなら、次に考えなければいけないのが副作用です。

抗ヒスタミン薬は、

  • 第1世代(ポララミン®、ペリアクチン®など)
  • 第2世代(ザイザル®、フェキソフェナジン®、アレグラ®など)

に分けられます。

抗ヒスタミン薬の問題点

①けいれんを起こしやすくする

特に第1世代の抗ヒスタミン薬(ポララミン®、ペリアクチン®など)は、乳幼児のけいれんを起こしやすくすることがよく知られています。

参考:乳幼児への抗ヒスタミン薬使用と熱性痙攣 日本医事新報社(2015.01.03)

②インペアード・パフォーマンス

第一世代抗ヒスタミン薬の副作用として報告されているものとして”眠気”は有名ですが、眠くなることだけではありません

インペアード・パフォーマンスといって、抗ヒスタミン薬が脳に移行した場合、自分では気づかないうちに、脳の働きが下がってしまう状態があります。

  • 集中力
  • 認知能力
  • 勉強の効率
  • 作業の正確さ
  • 運動の反応

などに対して、第一世代抗ヒスタミンを使用することで悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

第二世代の抗ヒスタミン薬は脳への移行をしにくいように作られた薬ではありますが、慎重に使用しなくてはいけません。

参考:鹿児島市医報 第55巻第7号,22-23

だから「使う場面」を選ぶことが大切

抗ヒスタミン薬は、

  • アレルギー性鼻炎
  • じんましん

など、本当に必要な場面ではとても良い薬です。

しかし、

  • 風邪の鼻水には効果ははっきりしない
  • 副作用のリスクはある

これらを考えると、風邪に対して何となく使う薬ではありません。

まとめ

  • 抗ヒスタミン薬は花粉症やダニやほこりによるアレルギー性鼻炎にはよく効く
  • 風邪の鼻水には効果がほとんどない
  • 乳幼児ではけいれんを誘発するリスクがある
  • 気づかないうちに脳の働きが下がることがある

「鼻水が出るから、とりあえず鼻水止め」ではなく、本当に必要かどうかを考えることがとても大切です。

アクアキッズクリニック東池袋院には、アレルギー疾患に強い医師も在籍しています。

アレルギー性鼻炎か風邪なのか、どんな薬を使った方がいいか悩んだ時はいつでもアクアキッズクリニック東池袋院へご相談ください。

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